あわ玉キャンディ
「...何勘違いしてるか知らないけど、私と藍はアナタの思ってるような関係じゃないわ。」
またコツコツと響いて、黒いピンヒールがあたしの視界に映った。
充血した目でその女の人を見るけど、やっぱりあの街で見たキレイな女の人だったんだ。
多分、この人が″ユリ″っていう人で。
―――どういうこと?
キスしてたのに......
「藍と会うのが今日で最後だから、キスしてってお願いしたのよ。記念にね。」
そう言うと、女の人はニッコリと笑ってみせた。
そのきれいで完璧な、女優張りの笑顔に、あたしは思わず目を見開く。
......信じられない。
この人にとっても......
霧崎さんにとっても......
キスってその程度のものなの?