あわ玉キャンディ
「...ありがとうございます!」
タクシーを降りて、再び走り出す。
歩いてる余裕なんかなかった。
一分でも、一秒でも早く逢いたい。
足がもつれて転びそうになっても、
ローヒールが脱げてしまいそうになっても、
あたしは走るのをやめなかった。
やっとのことで着いた、
霧崎さんのマンション。
ものすごく、久しぶりに感じてしまう。
ちょうど一ヵ月ぶりくらい......。
荒れた息を整えながら、そんなことを思う。
自動ドアがウィーンと音を立てて開き、あたしはエントランスホールに足を踏み入れた。
ここであの女の人と会ったんだよね。
鮮明にいろんなことを思い出してしまうのは、なぜだろう...。
慣れた手つきで、エレベーターのボタンを押した。