あわ玉キャンディ


袋から取り出した小さなあわ玉キャンディを、ひとつ取り出す。

しゅわしゅわソーダ味。

口に入れると、ネーミング通りにしゅわしゅわ溶け出して。

ほんのり甘い刺激の、ソーダ味が口の中いっぱいに広がる。


しばらくすると、甘い余韻だけを残して、消える。



霧崎さん、みたいだな―――。



家に帰ってきたとき、いつも期待してしまう。

「おかえり。」って、帰ってきてくれてるんじゃないかって。


お風呂に入るとき、思い出す。

真っ白な入浴剤が入ってるんじゃないかって。


バスで海を通り過ぎたとき、思い出す。

ああ、霧崎さんと、来たっけ....って。


怖いくらい、あたしの頭は霧崎さんでいっぱいで。

一日に、何回も思い出すの。


その幸せな記憶は、

ちっとも色褪せてくれなくて、困るよ。





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