あわ玉キャンディ
どっかお店を貸し切りにして、パーっといきたいところだったらしいけど
ビンボー大学生だから、仕方ないよね。
少し歩くと、楓の家に着く。
いつ来ても、おっきいなぁ......。
玄関にはざっと見て20足くらいのパンプスやら革靴やらが、キッチリと揃えられている。
さすが青大生。
いつもはパっと脱ぎ散らかすウチの大学のダメダメ女子にも、ヒールやらパンプスを揃えさせてしまう。
きっと、中でキャーキャー騒いでるんだろうな...
とか考えるまでもなく、リビングから女子の色めき立った声が聞こえた。
「買い出し係、とうちゃーく!」
「サンキュー! 悪いね、楓、和花。」
いつもはお菓子に飛びつく勢いの女子たちが、飛びついてこない。
リビングの真ん中で何かに群がって、我先にと押し合い圧し合いしてる。
「彼女とかいるんですか!?」
「教えて下さいよぉー、......キリサキさん!」
――――――――――え?
そんなに大きな声ではなかったけれど、あたしの耳はその単語を洩らさずキャッチした。