あわ玉キャンディ
あたしの記憶よりも、少し短くなった髪。
何考えてるかわかんない、って思ってた表情は、やわらかくて。
今、
優しさに満ち溢れてる気がするんだ。
「愛してる...、霧崎さん。」
羨望や好奇の目に臆することもなく、そう言ったあたしに、霧崎さんは一旦目を丸くして驚いた様子だったけど。
すぐに、フっと頬をゆるめて、
「俺も、愛してるよ。」
そう言って、唇を重ねた。
「ッキャー! 和花、ズルイ!」
「いつの間にーッ!」
キャーキャーと甲高いひしめきの中で交わしたキスは、
なんとなく...
口の中でしゅわしゅわ溶けて消えゆく、
あの、あわ玉キャンディの味がした。
「もう、
あわ玉キャンディにはならないでね?」
「は?」
意味がわからない、とでも言いたげな顔して首を傾げる霧崎さん。
今度は、あたしがフっと頬をゆるめて。
「―――溶けて消えていいのは、
あわ玉キャンディだけなんだからね?」
*fin*