あわ玉キャンディ
「やばっ。もう10時じゃんっ」
あたしと楓が話し込んでいるうちに、時間はあっという間に過ぎて、もうガラスの外は真っ暗だ。
それに、もうすぐこのカフェも閉店時間。
「和花、あたし、ドラマ見なきゃだから帰るねっ」
バッグやコートやらをかき集めて、急ぐ楓。
そんなに見たいドラマなのか...
「またね、楓」
「うん! はい、お金ね」
可愛いピンク色の長財布から500円玉をテーブルに置いて、足早にお店を出ていった楓。
なんだか、嵐が過ぎたかのよう。
――あたしも、そろそろ帰ろう。
楓のおかげで、だいぶ気が紛れたし、今日は楓と会って良かった。
話してみると、楽になるもんだな。
勘定を済ませて、すっきりとした気持ちでカフェを出た。