あわ玉キャンディ
「ホラ」
そう言って彼があたしに手渡したものは、小さなあめ玉だった。
しゅわしゅわソーダと書かれたソレは、
彼の大人っぽい雰囲気とは似つかわしくなく、思わず笑みが零れそうになるのを堪えた。
「俺に話してみれば?」
小さなブランコを揺らすたびにキィキィと音が鳴る。
ぶっきらぼうな口調の彼だけど、その言葉は乾いた心にすとんと入り込んだんだ。
あたしはおずおずと話し始めた。
あの男とのこと。
恋愛に恵まれないこと。
...あたしは男運がなさすぎる。
今回みたいに、付き合っている男が浮気をしていたとかはよくあった。
てか、あたしの経験では100パーセント。
まあ、今回はあたしが浮気相手だったようだけど...
あたしは男に愛されたことがないのだ。