あわ玉キャンディ
あの女の人は、どうしたの?
脳裏から離れてくれない光景が苦しいほどに、浮かんでしまって。
あたしは彼の胸板を押して、体を離した。
「あの人は...どうしたんですか?」
あたしにこんなこと聞く権利なんて、ないのかもしれないけれど...
その質問に、彼は口を開かなかった。
「彼女さんと一緒にいたほうがいいんじゃないですか? ...あたしなんかじゃなくて」
自分で言いながらも、苦しくなる。
でも、
きっとここで流されてしまったら。
あたしはもうだめだから―――
もう、離れられなくなるから...
「...もう、黙れよ」
数秒の沈黙をおいてから、彼がかすれた声で呟く。
「......んんっ」
ふと顔を上げた瞬間に、抱きすくめられ、キスを落とされた。