サヨナラをキミに


翌日、
緊張と、不安に包まれながら教えられた休憩室の扉を開けた。


コンコンッ―



「おはようございます!」

俺は出来るだけ元気良く挨拶をした。



休憩室には数人の男の子と一人の女の子がいて、一斉に視線が俺に集中した。



「…おはよーございます…。」


一瞬止まる会話の後にまばらに発せられるあいさつ。

なんだこの空気は…?

もしかして歓迎されてはいないのか?


俺は戸惑い、握り締めたドアノブを手前に引きそのまま帰りたくなった。




その時…


「うぉっ!デカッ!」


後ろから声が聞こえ振り向くと、髪の長い女の子が立っていた。



「あ、はじめまして…大沢拓実で…」


です。の「す」を言い終わらないうちに


「うん!取り敢えず中に入って着替えや?」


俺の背中をバシバシ叩き、ニコッと笑った顔が柔らかい印象だった。


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