届かない想い。
「みぃ、帰るぞ。」
放課後、ベランダで美亜とボーッとしていると、幼なじみの優が迎えに来てくれた。
たぶん、隼に聞いたんだろうな……――
優は隼の親友。
「前川、今日はコイツ借りていいか?」
「もちろん。よろしくね!」
美亜はあたしに『また明日。』そう言って教室を出て行った。
美亜なりに、気をつかったんだろう……――…
「……みぃ、大丈夫か。」
いつもみたいにぶっきらぼうに聞いてきた優。
でも、いつもより優しく聞いてくれた優。
「……………ッ」
「隼は、みぃを嫌いになってないから…」
「ヒッ………ク……ッ…」
「アイツなりに考えた結果だから。」
「ウゥ〜〜〜…ヒック…」
「だから泣くな…みぃ。」
優の声が優しくて、頭を撫でてくれる手が暖かくて……
あたしを抱き寄せる体がおっきくて……
優の胸で、また涙を流した。