難しい恋は遠慮させてください
「今年の子は元気だねー」

先輩は笑った。

たぶん私のことだろう。

ちょっと恥ずかしくて頭を掻いた。

「ギター弾いてみたい子?」

「はいっ!」

また私は手をあげた。

今度は私一人だ。

「はははっ!元気だね。はい、俺のギター弾いていいよ。ピック使う?」

「ありがとうございます!ピックは持ってます!」

「えっ?リオピック何で持ってんの?」

「中学でギター弾いてたの」

私はとびっきりの笑顔で言った。

「経験者か!ならすぐうまくなるね」

「ありがとうございます!」

私はギターを弾き始めた。

コードを一つ一つ弾いていく。

「すげー!佐伯ギターできんのかよ?」

「何か曲弾けるの?」

愛美は目をキラキラさせた。

「うーん…。アコギのコードになっちゃうけど一曲なら…」

「やってやって!」

私は弾き始めた。

私の知る曲のサビだけだけど。

弾き終えると、先輩が笑った。

「アコギでもそれだけコードがわかれば、エレキもできるよ!」

「ありがとーございます。」

仮入部と先輩の男子たちが拍手してくれた。

その中にあの三人がいたんだ。
この後私を悩ませてくれるあのやっかいな三人が。




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