難しい恋は遠慮させてください
「あっあのさ、メアド教えて?」

「は?」

「成田くーんナンパー?」

「ばっ!ちっげぇーよ」

先輩は耳まで真っ赤にして怒った。

「ナンパとかじゃないから、教えてくれない?」

焦っている先輩がおもしろかった。

「いいですよ?」

「マジで!?じゃ校門の外で!校内だとケータイとられちゃうからさ」

「わかりました」

真面目なんだな。

私はちょっと笑ってしまった。

先輩は先に学校をでた。

私達も帰ろうとした。

「ねぇねぇ!家どこ?総武線使う?」

いきなり話しかけてきたのは、石川だった。

「え?…私電車わかんないんだごめん」

「えー!新宿の方?」

「私自転車だからさ…」

「マジかー。同じ方面の人誰かいないのかな…」

石川は別の人のところに走っていった。

私と愛美は玄関に着いた。

「あれ、教室に忘れ物しちゃった」

「とりいこ?」

「ごめんね?」

私達は愛美の忘れ物をとりに教室に行った。

校舎をでるのが遅くなってしまった。

いくら春でも夜はまだ寒い。

先輩はもう帰っただろう。

そう思ったのに先輩はまだ校門の外にいた。

深川と石川と一緒に私を待っていた。





< 12 / 91 >

この作品をシェア

pagetop