難しい恋は遠慮させてください
しばらくして、先生が教室に入ってきた。

「初めまして。このクラスの担任の小林栄太です。よろしくな!」

明るい感じのいい先生だった。

「そして、今から書類を集める!名前を書いて後ろから回せ。」

…書類?

そんなのあったっけ?

バックの中をかき回してもない。
たぶん持っているとすればお母さんだ…

どうしよう…
入学して初日に忘れ物なんて…

「大丈夫?シャーペン忘れたの?かそうか」

さっき笑いかけてくれたあの子がいった。

「あっごめん。書類を忘れたんだ。」

「そっか…」

本当にいい子だな。
こんな子なら女の子らしく見えるよね。
私はちょっと憧れの視線で見てた。


書類はその後、式の直前に来たお母さんが渡してくれた。

式が終わると今度は頭髪検査。

髪を染めたこともない私がひっかかった。

放課後なのに教室に残された私の隣には、あの子もいた。

「あなたもひっかかったの?」

「あなたも?」

「私染めたことないのにさ…。あっ、あなたの名前は?私、佐伯リオ」

「風間愛美だよ」

愛美とはすぐに仲良くなった。

その日のうちにメアドを交換して、今度遊びに行く約束もした。

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