難しい恋は遠慮させてください
「…っ、おはよぅ!」

入ってきたのは深川だった。

「………っす。」

首を少しだけすくめて、私の顔を見ないで返事をした深川。

それも聞き取れるか聞き取れないかぐらいのかすかな声。

あれ?

気のせいかな?

これじゃ扱いが友達でもなさそうなんだけど…

友達以上恋人未満。

それは友達以上であって、友達じゃない。

それって悪い意味?それともいい意味?

私にはわからないよ…

深川はさっきまで私が座っていた席につく。

その光景を見ただけでドキッとする。

深川が机を見てもさっき私が書いたものは見えるはずがない。

それなのに胸がこんなにもざわめく。

深川はバックの中のケータイをいじってる。

…いつもなら話し掛けてくれるじゃん。

付き合う前から誰か来るまで話してたじゃん。

そんな気持ち、深川に届くはずもない。

同じ教室にいるはずの二人なのに、地球を間に挟んだくらいに二人の心は遠い。

私は感じたんだ。




もう…

もとには戻れないと…





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