難しい恋は遠慮させてください
その日は幸か不幸か部活の日だった。

いつものように愛美と私は部活にむかう。

部室にはもう見慣れたメンバー。

でもどこか寂しい。

理由はわかってる。

どんなに部室を見回しても、アイツがいないから。

教室にギターケースを背負ってきてなかったアイツ。

最初から部活に来る気なんてなかったんだね。

私は苦い笑みをこぼす。



愛美と私のバンドの音だしは一番最後。

今日は部室に女子が少なかったから(元々少ないけど)私と愛美は教室に戻った。

「リオさー。深川と今どうなの?」

愛美は優しい笑顔で聞いてきた。

愛美は私と深川が付き合っていたのを知っている。

でも別れたのはまだ言ってなかったね…

「この間…別れちゃった…!」

私はいつもとかわらない明るく元気な笑顔で言った。

愛美は目を丸くした。

「…どうゆうこと?」

私は愛美に別れた日のことや最近のことを話した。

映画に行くのをキャンセルされたり、三回ぶんのデートをドタキャンされたり…
しかも全部相手から誘ってきたこと。

深川のおばあちゃんが死んでしまったこと。

そして別れたときのメールのこと…

愛美は隣に座って黙って聞いてくれていた。
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