難しい恋は遠慮させてください
私と愛美はその後、音出しを二年生の伊島先輩のバンドにゆずった。

愛美が泣き顔のまま部活に行くのは嫌でしょ?
と言って、先生と先輩たちに言ってきてくれた。

愛美と私は部活が終わるギリギリまで教室で話していた。

私の目を愛美が自分のハンカチを濡らして冷やしてくれたおかげで、涙で腫れていた目の腫れも引いた。

「愛美…ありがとう」

「なに言ってんの?親友じゃん!」

愛美は元気よく微笑んだ。

「大丈夫、大丈夫」と言って私の頭を撫でた。

「子供扱いしてる…」

「だってリオがこんなに弱々しいの珍しいんだもん」

「私は弱くなーい!」

大げさに愛美の手を払うと、二人は笑っていた。

「それでこそリオだ」

愛美は笑ってまた私の頭を撫でた。

ちょっとムカつくけど、少しうれしかった。





部室を片付ける時間になって、私と愛美は自分の楽器の道具などを片付けはじめた。

「さっき体調悪かったんだって?大丈夫?」

伊島先輩が心配をして話し掛けてきた。

愛美は体調が悪いと先輩達に言ったんだな?

私は愛美に感謝して話題をあわせて返事をした。

「あっすいません…。ちょっとお腹が痛くなっちゃって…」

私は軽く笑っていった。
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