難しい恋は遠慮させてください
「無理しないほうがいいよ?」

「あっ!大丈夫ですもう全然元気なんで!」

私はにっこり笑って先輩に向けてビシッとピースをした。

「そっかぁ…。でも無理しないでね?」

ちょっとこの先輩しつこいよ?
大丈夫って言ってるじゃん…

私はちょっとめんどくさくなって先輩から目をそらした。

その時はじめて気付いた。

部室ないに私と先輩二人っきり!?

さっきまでいた二年と三年の先輩、その上一年と愛美までいない!

楽器庫の方から話し声が聞こえる。

それは明らかに何かを楽しむ声。

これはもしやはめられた?

目の前の伊島先輩は全然気にしていない様子。

コイツ…グルか…?

私は少し伊島先輩を疑いの目で見た。

伊島先輩はキョトンと首をかしげて私を見つめ返す。

先輩のくせのある髪がふわっとゆれた。

…やーめた!

人を疑うのはよくないしね!

そんな軽い考えをした私がバカだったんだけどね…






先輩との話を適当に終わらせて、私はすぐに楽器庫の方に顔を突っ込んだ。

「なんで部室に入ってこないんですかぁー?」

私は中にいる人たちに不満げな表情で言った。

もちろんそこに紛れている愛美にも
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