難しい恋は遠慮させてください
「あれ?もう話し終わっちゃったの?」

千夏先輩がにやにやと伊島先輩の方を見ながら言った。

「成田くーん。ダメじゃーんちゃんと話しなきゃぁ」

一年の男子まで先輩をからかっている。

「チナ先輩うるさいですよ!?
つか、おまえらは口出しすんな!」

伊島先輩は焦ったり怒ったり照れたりと、忙しそうに表情を変えていた。

私はそれが少しおかしくて、先輩やみんなに言う文句も忘れて、他の人と一緒に先輩を笑ってた。

「ちょっ!?リオまで笑わないでよ!」

先輩は私が笑ってるのに気付いて嬉しそうと困った表情が増えて、やっぱりその顔はおもしろくて笑ってしまった。

「あ!そう言えば愛美!
何で私を置いていったのさ?」

ふと思い出して、私は愛美をせめた。

「いやー…先輩に頼まれちゃって!」

愛美は頭を掻きながらいたずらっぽい笑みを浮かべた。

「今度やったらキレるからね…」

「わー!ごめんごめん!!
もうしないから許してー!」

焦って私にすがりつく愛美とまだみんなにからかわれている先輩をみて私はまたほほえんだ。

失恋したことを忘れられるほどにこの部活は楽しいとその時は思ったんだ。





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