難しい恋は遠慮させてください
「リオー。次うちらの試合らしいから行くよー!」

愛美が大声で私を読んだ。

「あーい。今行くぅ」

私は返事をして愛美の方に走りだした。

「がんばれよ!」

後ろから石川の声がして、私は立ち止まり振り向いた。

石川にこにこと笑って私を見ていた。

「…さんきゅ!」

私は右手をあげてニカッと笑って見せた。

「リーオー!早くぅー!」

愛美が会場への通路の真ん中辺りで私を読んだ。

「ちょっ!?ちょぉ待ってぇな!うちをおいていかんといてぇ!」

私は関西弁まじりで愛美を追い掛けた。

やっと愛美に追い付いたのは会場の前。

ちょっとくらいは待ってくれてもいいやん!

試合が始まって、やっぱり私はベンチ。

交替もなし。

結果、試合には勝ってビリから2番目だった。

私たちが帰ろうとすると、次の試合の人たちが会場に入ってきた。

全員男子。

よく見覚えのある顔と声。

A組の男子たちだ。

そのあとから入ってきたのはC組の男子らしい。

これから男子は決勝戦をする。

A組の女子は応援席に戻るのを止め、二階の試合会場がよく見える場所に残った。




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