難しい恋は遠慮させてください
試合が始まる。

A組の男子は息が合っていてとてもうまい。

だけどC組には、背がすごく高いバレー部の男子がスタメンに選ばれている。

三人いるバレー部の男子が華麗にスパイクを決める。

ブロックまで完璧で中々A組の男子は点を入れられない。

試合は後半に入り、コートチェンジ。

得点はA組五点、C組は八点。

三点差で負けてる…

「がんばれー!まだ三点差だよー!」

私のクラスの女子が叫んだ。

その子は試合コートを挟んで私の反対側にいた。

私が顔を上げるとその子に続いて他の子まで声を出した。

「リオ!うちらも応援しよ!」

隣にいた愛美が言った。

「うん!」

私はまたコートに目を向ける。

試合を頑張る男子。

その中にアイツもいるんだ。

ずっと目でおってた。

少し小柄で髪の毛なんかぐるぐるのくせっけ。

目が大きくて、男のくせに嫉妬したくなるくらい長いまつげ。

深川…

A組の女子に紛れて、A組男子の名前を一人ずつ呼んで応援をしていた。

深川がサーブをうつときに私の心を何かが強くうった。

「深川ー!!がんばれー!!」

私は気が付いたら誰よりも先に、誰よりも大きな声で言っていた。
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