難しい恋は遠慮させてください
「なんでこんなとこで着替えてんだよバカッッッ!!」

近くにあった柱に隠れて、背後にいる深川に向かって怒鳴った。

「バカバカ何回も言うんじゃねぇよ!」

「知るかっ!さっさっと着替えてどっか行け!」

「おまえがどっか行けよ!」

「私はみんなをここで待ってるって言ったんだよ!」

私と深川がぎゃあぎゃあ柱ごしに言い合っていると、他の男子が笑いだした。

「おまえら仲良すぎじゃね?」

「付き合ってたりしてー?」

冷やかしの声が後ろから聞こえてくる。

「バッカじゃねーの?誰がこんな奴!」

ズキン…

あれ?
何で今心が痛くなんかなったんだろ?
本当に付き合ってなんかないのに…

「バカじゃないし!
私だってアンタみたいな奴願い下げだよ!」

「言ってくれるじゃん
人の着替えのぞいといて」

「事故だバーカ!じゃなきゃ見ねぇよ!」

ぎゃあぎゃあ私達が言い合っているうちに、他の男子の着替えが終わったらしく、後ろでザワザワしはじめた。

「俺はもう帰るからなー」

「夫婦漫才してないで早く着替えてやれよ?」

男子の冷やかしの声が後ろから聞こえてくる。

いつか奴らつぶすッッッ!!

私はそう深く心に誓った。

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