ストレート【調整中】
雨が降る中…
逆転されても、
キリは一生懸命投げ続けた。


そんなキリに
一度は波にのった兄のチームも
得点する事が出来なかった。


六回裏
キリのチームの四番が
単独ホームランを打ち、
同点となった。


七回表
2番、三振。
3番、三振。

四番の兄に打順が回って来た。
四回のホームランもあり、みんな兄に期待した。
ホームランコールが起こる程だった。


いつもは大人びた兄も
桐を前にするとただの15歳の少年になる。
瞳をきらきらさせて
キリだけしか見えていない。

チームとか
勝利とか
全国大会だとか
全部抜きにして

バッターとして
野球選手として
桐との対決を楽しんでいる。


彼らには
この馬鹿でかい声援が聞こえていないのだろう。
…二人の世界。
まるでグラウンドには桐と兄しかいないみたいに。


桐と兄
正真正銘の一騎討ちになった。


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