ストレート【調整中】

雨は
強く激しくなり
会場の人は
あたし以外いなくなった―…


マウンドで
呆然と立ち
天を仰ぐキリ…。



…キリ。
…泣いて、いるの?



キリはグローブを
左手から外すと
その場に落として

マウンドを降りた。


「…キリ!キリ!」

泣きながら
桐の名を叫んだ。

でも、
雨の音が邪魔して届かない。


何だか、とても恐かった。
予感がした。
キリが帰って来ないって。

「…キリッ!キリぃ!」

あたしは叫んだ。

桐は
一度も振り向かず
会場を出て行った。


あたしは
階段を駆け降り
外にでた。

何処に行ったかなんて
分からない。

行く先も分からず
あたしは走った。

でも、追いかけなければいけない気がした。

ただ
がむしゃらに走った。


雨で視界が
かきけされる…。

雨は
どんどん強くなる。


―ねぇ、キリ
一人で
泣かないで…。


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