ストレート【調整中】
駄目だ、言うな。

冷静になれ。

感情とは裏腹に
里央への苛立ちが収まらない。


里央に背を向ける。


―「野球は好きですか?」

…公。

ごめんな、俺さ


「野球なんて、大嫌いなんだよ!」

眉をしかめる。
涙が止まらない。

里央に涙を見られたくなくて
背を向けた。

震える肩を
必死で抑えた。

ちゃんと、言えただろうか。


どうか、俺のいない所で
里央は野球をしてくれ。

お前は、背負う必要はない。

お前みたいないい奴は
こんな雨なんかじゃなくて
青空が良く似合う。


―「野球は好きですか?」

公…。

俺さ


―「もちろん」

あの日から

随分
汚れちゃったよ。


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