ストレート【調整中】
「…すぅ。」
肺に空気を送りこむ。
目の前には青く広がる空があった。
雲一つない、海のような空が。
手を伸ばし空を掴もうとしたが、無情にも俺の手は空を切る。
何度も、何度も。
手を伸ばしては、裏切られ、
それでも伸ばし続ける人はこの世に何人くらいいるのだろう…なんて一人で考えていた。
「…っぶないっ!!!」
急に叫びに近い声が聞こえたと思ったら、頭にひどい激痛が走る。
反射的に俺の体は、反り返った。
「大丈夫ですか?」
声がした方に振り向くと…
野球帽を被った小さな女の子が
心配そうに俺を見ている。
大丈夫だよ。
と言おうとしても出ない、声。
「…」
代わりに俺の頭に激突した
軟式ボールを彼女に手渡し、
微笑んだ。