ストレート【調整中】
「お兄ちゃん、ママみたいね。」
帽子のツバを指で上げ、彼女は寂しそうに微笑んだ。
「ここ…空っぽ。」
とんっ…と、
胸を指でつかれた。
弱い力なはずなのに、俺の体はやや後ろへ押される。
「あたしのママもね、よく空見てたよ。…パパね、死んじゃったの。ママ、パパの事思って、ずっと空、見てた。」
彼女の瞳が深さを増していく。
晴れた空を雨雲が侵食してするように、霞む。
何で…そんなに、泣きそうなんだい?
そう聞こうと思ったけど、溢れんばかりに瞳に溜めた涙が零れてしまいそうで、彼女の言葉に耳を傾けた。