楽園の炎
宝瓶宮の自室で、朱夏は落ち着きなく、小さな窓から見える夕日を見つめていた。
窓から抜け出すべく、外を覗き込んでみたのだが、案の定窓の下には兵士がいた。
結局地下牢に忍び込めたのは、あの一回だけだ。
せめて毎日でも会いに行けたら、と思い、朱夏は苛々と首にかけた短剣を触った。
いまだに鞘は、作られていない。
憂杏に会えていないので、ユウに頼まれた店の始末も、頼めていない。
何とかしてユウに会えないものかと、部屋の中を歩き回っていた朱夏は、ふと指先を唇に当てた。
地下牢で別れる寸前、ユウに口付けされたのを、思い出したのだ。
いきなりだったこともあるが、拒まなかった。
あんな切羽詰まった状況でなければ、あの後ユウに抱きしめられたとき、きっと自分は彼の背中に、手を回していただろう。
あのときだって、離れたくなかったのだ。
朱夏は己の身体を抱いて、蹲った。
胸が張り裂けそうだ。
今でもこんなに苦しいのに、ユウがこの世からいなくなってしまったら、きっと耐えられない。
朱夏の口から、嗚咽が漏れる。
ユウがいなくなるかもしれないことが悲しくて、なのに何もできない自分が悔しくて、朱夏は泣いた。
手の中で、透き通った短剣が、冷たく光った。
窓から抜け出すべく、外を覗き込んでみたのだが、案の定窓の下には兵士がいた。
結局地下牢に忍び込めたのは、あの一回だけだ。
せめて毎日でも会いに行けたら、と思い、朱夏は苛々と首にかけた短剣を触った。
いまだに鞘は、作られていない。
憂杏に会えていないので、ユウに頼まれた店の始末も、頼めていない。
何とかしてユウに会えないものかと、部屋の中を歩き回っていた朱夏は、ふと指先を唇に当てた。
地下牢で別れる寸前、ユウに口付けされたのを、思い出したのだ。
いきなりだったこともあるが、拒まなかった。
あんな切羽詰まった状況でなければ、あの後ユウに抱きしめられたとき、きっと自分は彼の背中に、手を回していただろう。
あのときだって、離れたくなかったのだ。
朱夏は己の身体を抱いて、蹲った。
胸が張り裂けそうだ。
今でもこんなに苦しいのに、ユウがこの世からいなくなってしまったら、きっと耐えられない。
朱夏の口から、嗚咽が漏れる。
ユウがいなくなるかもしれないことが悲しくて、なのに何もできない自分が悔しくて、朱夏は泣いた。
手の中で、透き通った短剣が、冷たく光った。