楽園の炎
部屋から出ると、やはり兵士の一人がぴたりと炎駒につく。
早馬で皇太子に知らせたことは、ただ葵王暗殺未遂の処罰について、いささか疑問があるので、急ぎ皇太子殿下にご裁可を、再度お願いする、というものだ。
詳しくは書けない。
葵王と朱夏のことを、公にするわけにはいかないからだ。
ユウ自身が言った、皇太子殿下の勘気というものが、どれほどのものかはわからないが、もう皇太子殿下が到着すれば、助かる可能性があるというニュアンスに、賭けるしかない。
逸る気持ちを抑え、炎駒は皇太子殿下がおられるであろう、アルファルド王の元へ急いだ。
磨羯宮の中でも貴賓用の上等の部屋で、炎駒はククルカン皇太子殿下と謁見した。
若い皇太子は、浅黒い肌のわりには明るい髪の、聡明そうな青年だった。
炎駒は皇太子の前に膝を付き、深く頭を垂れた。
「急なご到着のあまり、お出迎えもなりませんで、誠に申し訳なく・・・・・・」
「気にするな。こちらも早く来たかったのだが、何分人数が多い。そなたの早馬は、大軍から抜け出す良い口実になった」
口は笑っているが、何となく機嫌は悪そうだ。
ご機嫌を損ねてしまったのだろうか、と思っていると、ナスル姫が侍女を連れて入ってきた。
「いらせられませ。随分急なご到着でしたのね。でも良かった。ちょうど、ご報告したいことがありましたの。あ、皆様。兄上はご機嫌がお悪いように見えますけど、こちらのことですから、気にしないで」
ナスル姫が、居並ぶ家臣に向かって、ちょっと明るく言った。
機嫌の悪そうな宗主国の皇太子の急な到着に、ぴりぴりしていたアルファルドの重臣たちは、ナスル姫の言葉に、少し安心した。
早馬で皇太子に知らせたことは、ただ葵王暗殺未遂の処罰について、いささか疑問があるので、急ぎ皇太子殿下にご裁可を、再度お願いする、というものだ。
詳しくは書けない。
葵王と朱夏のことを、公にするわけにはいかないからだ。
ユウ自身が言った、皇太子殿下の勘気というものが、どれほどのものかはわからないが、もう皇太子殿下が到着すれば、助かる可能性があるというニュアンスに、賭けるしかない。
逸る気持ちを抑え、炎駒は皇太子殿下がおられるであろう、アルファルド王の元へ急いだ。
磨羯宮の中でも貴賓用の上等の部屋で、炎駒はククルカン皇太子殿下と謁見した。
若い皇太子は、浅黒い肌のわりには明るい髪の、聡明そうな青年だった。
炎駒は皇太子の前に膝を付き、深く頭を垂れた。
「急なご到着のあまり、お出迎えもなりませんで、誠に申し訳なく・・・・・・」
「気にするな。こちらも早く来たかったのだが、何分人数が多い。そなたの早馬は、大軍から抜け出す良い口実になった」
口は笑っているが、何となく機嫌は悪そうだ。
ご機嫌を損ねてしまったのだろうか、と思っていると、ナスル姫が侍女を連れて入ってきた。
「いらせられませ。随分急なご到着でしたのね。でも良かった。ちょうど、ご報告したいことがありましたの。あ、皆様。兄上はご機嫌がお悪いように見えますけど、こちらのことですから、気にしないで」
ナスル姫が、居並ぶ家臣に向かって、ちょっと明るく言った。
機嫌の悪そうな宗主国の皇太子の急な到着に、ぴりぴりしていたアルファルドの重臣たちは、ナスル姫の言葉に、少し安心した。