楽園の炎
第十三章
「朱夏。会いたかったわぁ」
ナスル姫の部屋に入ると、甘い匂いが漂っていた。
匂いの元を辿れば、ナスル姫の座っている前の机に、籠に盛られた焼き菓子がある。
「さ、どうぞ。今日はハイビスカスティーよ」
以前と同じように、ナスル姫は自らお茶を淹れてくれる。
朱夏はナスル姫の前に、腰を下ろした。
姫が朱夏の前に、目の覚めるような毒々しい色のお茶を置く。
「・・・・・・凄い色のお茶ですね」
「おかしいわね。前に市でもらったハイビスカスティーは、綺麗な色だったのに。わたくしの配合が、おかしいのかしらね」
でもきっと、味は良いはずよ、と、何の根拠もなく言い、姫はカップに角砂糖を放り込んだ。
恐る恐る、口を付けてみる。
「すっぱ!」
「あ。駄目よぅ。お砂糖入れなきゃ」
思わず上げてしまった声も気にせず、ナスル姫は朱夏のカップにも、何個か砂糖を放り込んだ。
朱夏はそっと、ポットの蓋を開けて、中を覗いてみた。
ドライフラワーになった、ハイビスカスと思しき花が、でんと入っている。
「うわ。なんちゅーダイナミックなお茶っ葉なんですか」
驚いて蓋を落としそうになった朱夏に、ナスル姫は、あれ? と小首を傾げた。
ナスル姫の部屋に入ると、甘い匂いが漂っていた。
匂いの元を辿れば、ナスル姫の座っている前の机に、籠に盛られた焼き菓子がある。
「さ、どうぞ。今日はハイビスカスティーよ」
以前と同じように、ナスル姫は自らお茶を淹れてくれる。
朱夏はナスル姫の前に、腰を下ろした。
姫が朱夏の前に、目の覚めるような毒々しい色のお茶を置く。
「・・・・・・凄い色のお茶ですね」
「おかしいわね。前に市でもらったハイビスカスティーは、綺麗な色だったのに。わたくしの配合が、おかしいのかしらね」
でもきっと、味は良いはずよ、と、何の根拠もなく言い、姫はカップに角砂糖を放り込んだ。
恐る恐る、口を付けてみる。
「すっぱ!」
「あ。駄目よぅ。お砂糖入れなきゃ」
思わず上げてしまった声も気にせず、ナスル姫は朱夏のカップにも、何個か砂糖を放り込んだ。
朱夏はそっと、ポットの蓋を開けて、中を覗いてみた。
ドライフラワーになった、ハイビスカスと思しき花が、でんと入っている。
「うわ。なんちゅーダイナミックなお茶っ葉なんですか」
驚いて蓋を落としそうになった朱夏に、ナスル姫は、あれ? と小首を傾げた。