楽園の炎
少年兵は、筒を日に翳して見せた。
「こうやって明るいところで覗くと、ほら」
少年兵が少し身体をずらして、朱夏に言う。
促されるまま、朱夏は先程少年がしていたように、片目を瞑って筒を覗き込んだ。
きらきらといろんな色が、不思議な模様を作っている。
「凄いんですよ。こうすると・・・・・・」
少年兵の声と共に、模様がみるみる形を変える。
朱夏は驚いて、ぱっと顔を離して筒を見た。
少年は、筒を回しただけだ。
「万華鏡っていうんだぜ。簡単なおもちゃだが、なかなか綺麗だろ」
憂杏が説明する。
「ほら。それはナスル姫への土産なんだからな」
憂杏の言葉に、朱夏は素早く反応した。
少年兵は、また万華鏡をひとしきり覗き込んでから、憂杏の手に渡す。
「あたしには? お土産、ないの?」
ちょっと意地悪く言ってやる。
すると憂杏はあっさりと、鼻で笑い飛ばした。
「お前はいつでも、市に来られるじゃねぇか。王宮に来るたびに土産持ってきてちゃ、懐がおっつかんぜ。大体、お前はこんなものに、興味はないだろ。食い物のほうが、いいんじゃねぇのか?」
「こうやって明るいところで覗くと、ほら」
少年兵が少し身体をずらして、朱夏に言う。
促されるまま、朱夏は先程少年がしていたように、片目を瞑って筒を覗き込んだ。
きらきらといろんな色が、不思議な模様を作っている。
「凄いんですよ。こうすると・・・・・・」
少年兵の声と共に、模様がみるみる形を変える。
朱夏は驚いて、ぱっと顔を離して筒を見た。
少年は、筒を回しただけだ。
「万華鏡っていうんだぜ。簡単なおもちゃだが、なかなか綺麗だろ」
憂杏が説明する。
「ほら。それはナスル姫への土産なんだからな」
憂杏の言葉に、朱夏は素早く反応した。
少年兵は、また万華鏡をひとしきり覗き込んでから、憂杏の手に渡す。
「あたしには? お土産、ないの?」
ちょっと意地悪く言ってやる。
すると憂杏はあっさりと、鼻で笑い飛ばした。
「お前はいつでも、市に来られるじゃねぇか。王宮に来るたびに土産持ってきてちゃ、懐がおっつかんぜ。大体、お前はこんなものに、興味はないだろ。食い物のほうが、いいんじゃねぇのか?」