楽園の炎
「まぁ。朱夏様も、そういうことをお考えになるようになりましたのね。そうですわねぇ。朱夏様のお子は、わたくしの孫みたいなもの・・・・・・。いえ、ひ孫になりますのかしら」
相変わらずころころと笑う桂枝に、朱夏は、ひく、と頬を引き攣らせた。
当然朱夏が言ったのは自分のことではなく、桂枝の、本当の孫のことだ。
が、桂枝にはそのようなこと、まるで頭にないようだ。
「ああ、本当にあの朱夏様が、ちゃんと殿方の元に嫁がれるとは。しかも、大国ククルカンの皇子様に・・・・・・」
「・・・・・・あのさ、そんなに喜んでくれるのは有り難いけど、桂枝には、ちゃんと本当の息子がいるじゃない。憂杏が結婚したら、桂枝、ほんとの孫ができるじゃない?」
よよよ、と嬉し泣きをする桂枝に言ってみると、やはり桂枝の目に浮かんでいた涙は、引っ込んでしまう。
「その辺は、期待しておりません。まぁ憂杏も、商人としてはちゃんとやっているのでしょうから、良いのですけどね。あのようにふらふらと旅ばかりしていては、お嫁さんをもらうなど、とても無理でしょう」
「でも、世界を知ってるって、凄いことだよ。どこかでどこぞのお嬢さんと、出会うかもしれないしね。ある日いきなり桂枝のところに、お嫁さんを連れてくるかもしれないわよ」
それならそれで、良いですけどね、と、桂枝はさして興味なく、湯から上がった朱夏に、香油を塗りたくった。
相変わらずころころと笑う桂枝に、朱夏は、ひく、と頬を引き攣らせた。
当然朱夏が言ったのは自分のことではなく、桂枝の、本当の孫のことだ。
が、桂枝にはそのようなこと、まるで頭にないようだ。
「ああ、本当にあの朱夏様が、ちゃんと殿方の元に嫁がれるとは。しかも、大国ククルカンの皇子様に・・・・・・」
「・・・・・・あのさ、そんなに喜んでくれるのは有り難いけど、桂枝には、ちゃんと本当の息子がいるじゃない。憂杏が結婚したら、桂枝、ほんとの孫ができるじゃない?」
よよよ、と嬉し泣きをする桂枝に言ってみると、やはり桂枝の目に浮かんでいた涙は、引っ込んでしまう。
「その辺は、期待しておりません。まぁ憂杏も、商人としてはちゃんとやっているのでしょうから、良いのですけどね。あのようにふらふらと旅ばかりしていては、お嫁さんをもらうなど、とても無理でしょう」
「でも、世界を知ってるって、凄いことだよ。どこかでどこぞのお嬢さんと、出会うかもしれないしね。ある日いきなり桂枝のところに、お嫁さんを連れてくるかもしれないわよ」
それならそれで、良いですけどね、と、桂枝はさして興味なく、湯から上がった朱夏に、香油を塗りたくった。