楽園の炎
憂杏が、やれやれ、というように、肩を竦める。
「ああやだやだ。このクソ暑い中、よくやるよ。せいぜい葵に、妬かれないようにな」
ばさばさと反物をまとめながら言う憂杏に、朱夏は、あれ、と思った。
憂杏は葵とナスル姫のお見合いが壊れたことを、知っているのだろうか。
「凄い情報力だな。ナスルの見合いのこと、もう知ってるのか」
夕星も同じように思ったらしく、呆れたように言う。
「ああ、まぁな。ていうか、ほんとになくなったのか。いやね、お姫さんがさ、見合いをやめようと思うって言ってたんでね」
「ゆ、憂杏に言ったの? へえぇぇ~・・・・・・。それでさ、その、何でかとか、理由は?」
思わず朱夏は、ぐい、と身を乗り出した。
いかにも怪しげだ。
夕星に、後ろから引き留められる。
「さぁ? よくは知らんが、何か気持ちが揺れてるようだったから、はっきりしないならやめてもいいんじゃないか、と言っただけだよ。したら、納得したみたいだったから、見合いはなくなるかもなって」
さして興味もなさそうに、憂杏は淡々と言う。
あんたにそう言われりゃ、そりゃやめるわよ、と思いながら、朱夏はやきもきと首に掛かった短剣をいじった。
「ああやだやだ。このクソ暑い中、よくやるよ。せいぜい葵に、妬かれないようにな」
ばさばさと反物をまとめながら言う憂杏に、朱夏は、あれ、と思った。
憂杏は葵とナスル姫のお見合いが壊れたことを、知っているのだろうか。
「凄い情報力だな。ナスルの見合いのこと、もう知ってるのか」
夕星も同じように思ったらしく、呆れたように言う。
「ああ、まぁな。ていうか、ほんとになくなったのか。いやね、お姫さんがさ、見合いをやめようと思うって言ってたんでね」
「ゆ、憂杏に言ったの? へえぇぇ~・・・・・・。それでさ、その、何でかとか、理由は?」
思わず朱夏は、ぐい、と身を乗り出した。
いかにも怪しげだ。
夕星に、後ろから引き留められる。
「さぁ? よくは知らんが、何か気持ちが揺れてるようだったから、はっきりしないならやめてもいいんじゃないか、と言っただけだよ。したら、納得したみたいだったから、見合いはなくなるかもなって」
さして興味もなさそうに、憂杏は淡々と言う。
あんたにそう言われりゃ、そりゃやめるわよ、と思いながら、朱夏はやきもきと首に掛かった短剣をいじった。