楽園の炎
第十六章
日が落ちてから、朱夏は夕星と、再びナスル姫のお見舞いに向かった。
「ナスル姫様、お加減はいかが?」
部屋に入りながら声をかけた朱夏に、慌てた様子で侍女が駆け寄る。
朱夏の手には、ナスル姫の夕餉の盆が乗っているからだ。
「まぁまぁ。そのようなこと、わたくしどもがやりますのに」
「いいのいいの。どうせ姫様のところに来るんだったんだし」
侍女と言葉を交わしながら、朱夏は寝台の横のテーブルに、盆を置いた。
「まだ顔が赤いな。熱は?」
夕星が言いながら、寝台に腰掛け、ナスル姫の額に手を当てる。
「なかなか下がらないの。気候が違うからかしらね」
同じ男でも、気心の知れている夕星の前では、ナスル姫は大人しく寝転んだままだ。
「夕餉は? 食べられますか?」
器を手渡す朱夏に、ナスル姫は起き上がった。
そして、嬉しそうに微笑む。
「ありがとう。ふふっ、朱夏がお姉さんになってくれたら、こういうこと、普通になるのかしら」
寝台の上に座り、ナスル姫はにこにことスープを飲む。
朱夏は曖昧に微笑み返し、ふと枕元にある小さな瓶に気づいた。
「これは?」
瓶の中には、色とりどりの輝石が入って、光に翳すときらきら光る。
瓶自体も、香水の入れ物のように、可愛い形だ。
「ナスル姫様、お加減はいかが?」
部屋に入りながら声をかけた朱夏に、慌てた様子で侍女が駆け寄る。
朱夏の手には、ナスル姫の夕餉の盆が乗っているからだ。
「まぁまぁ。そのようなこと、わたくしどもがやりますのに」
「いいのいいの。どうせ姫様のところに来るんだったんだし」
侍女と言葉を交わしながら、朱夏は寝台の横のテーブルに、盆を置いた。
「まだ顔が赤いな。熱は?」
夕星が言いながら、寝台に腰掛け、ナスル姫の額に手を当てる。
「なかなか下がらないの。気候が違うからかしらね」
同じ男でも、気心の知れている夕星の前では、ナスル姫は大人しく寝転んだままだ。
「夕餉は? 食べられますか?」
器を手渡す朱夏に、ナスル姫は起き上がった。
そして、嬉しそうに微笑む。
「ありがとう。ふふっ、朱夏がお姉さんになってくれたら、こういうこと、普通になるのかしら」
寝台の上に座り、ナスル姫はにこにことスープを飲む。
朱夏は曖昧に微笑み返し、ふと枕元にある小さな瓶に気づいた。
「これは?」
瓶の中には、色とりどりの輝石が入って、光に翳すときらきら光る。
瓶自体も、香水の入れ物のように、可愛い形だ。