楽園の炎
「ななな、何言ってんの・・・・・・。そ、そんなんじゃないわよ。ただ、ちょっと用事で」
墓穴である。
アルは相変わらずにやりとした後、桂枝を見た。
「桂枝様。炎駒様は、本日は磨羯宮でお休みになられるのでしょうか?」
「どうかしら。でも、そんなことは滅多にないから、お帰りになられるはず。朱夏様は、お出かけになられるのですか?」
どこか楽しげなアルとは違い、桂枝は微妙な表情だ。
ほとんど親代わりの桂枝からしたら、この夜中に男と会うなど、歓迎できることではないだろう。
朱夏はだらだらと嫌な汗を流しながら、視線を彷徨わせた。
「朱夏様も、年頃ではありますけどね。お相手は、夕星様なのでしょうね? まさかとは思いますが、他の殿方などではないでしょうね?」
渋い顔で、桂枝は唸るように呟く。
その内容に、朱夏は慌てた。
「あのね、誤解のないように言っておくけど、ほんとに逢い引きなんかじゃないんだって。お会いするのはユウだけど、あの・・・・・・」
朱夏は一旦言葉を切り、アルがうきうきといった様子で何かを用意しているのを確認すると、ぐい、と桂枝に顔を近づけて、声を潜めた。
墓穴である。
アルは相変わらずにやりとした後、桂枝を見た。
「桂枝様。炎駒様は、本日は磨羯宮でお休みになられるのでしょうか?」
「どうかしら。でも、そんなことは滅多にないから、お帰りになられるはず。朱夏様は、お出かけになられるのですか?」
どこか楽しげなアルとは違い、桂枝は微妙な表情だ。
ほとんど親代わりの桂枝からしたら、この夜中に男と会うなど、歓迎できることではないだろう。
朱夏はだらだらと嫌な汗を流しながら、視線を彷徨わせた。
「朱夏様も、年頃ではありますけどね。お相手は、夕星様なのでしょうね? まさかとは思いますが、他の殿方などではないでしょうね?」
渋い顔で、桂枝は唸るように呟く。
その内容に、朱夏は慌てた。
「あのね、誤解のないように言っておくけど、ほんとに逢い引きなんかじゃないんだって。お会いするのはユウだけど、あの・・・・・・」
朱夏は一旦言葉を切り、アルがうきうきといった様子で何かを用意しているのを確認すると、ぐい、と桂枝に顔を近づけて、声を潜めた。