楽園の炎
「・・・・・・はい?」

「あのさ、だから、あたしとユウが結婚したとするじゃない? そしたら、ま、最初の夜は、特別でしょ? それを、初夜っていうのよね」

「そうですね」

「一緒に過ごすのよね」

「ええ」

「・・・・・・何でそれだけで、ユウの身に危険が及ぶの?」

「危険?」

わけがわからず、アルは相変わらず首を傾げている。
が、不意に声を潜めた。

「あの、まさかとは思いますが。朱夏様、ほんとに男女の仲ってもの、わかってらっしゃらないのでは?」

「わかってるわよっ! ・・・・・・と、思うわよ」

噛み付くように言った朱夏だが、最後に自信なさげに付け加えた。
アルは少し考え、ちらりと朱夏を見た。

「葵王様が夜這いをかけたとき、朱夏様は、何をされました?」

「なな、何言うのよ」

いきなりの質問に、朱夏は己の身を抱くように、両腕で二の腕をさすった。

「同じじゃないですか」

「同じ?」

「嫌な表現ですけど。やることは、同じですよ」

己を抱いたまま、朱夏は考えた。
夜這いと同じということか。

「相手が違うだけってこと?」

確かにそうかも、と思いつつ、朱夏は上目遣いでアルに問うた。
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