楽園の炎
炎駒や桂枝が帰ってくるのが待ちきれなくて、朱夏は内宮の庭に散歩に出た。
部屋を出たものの、まさか謁見の間に訪ねていくわけにもいかない。
稽古でもして気を紛らわそうかとも思ったが、時間が経ったとはいえ、やはり気になって落ち着かない。
まだ稽古にも、身は入らないだろう。
ぶらぶらしていると、向こうから歩いてくる人影に気づいた。
「葵、どうしたの?」
同じように、散歩のように歩いてきた葵に、朱夏は駆け寄った。
どうやら葵も、気になっているらしい。
朱夏のように、散歩をしつつ、気分転換していたようだ。
「さっきまでは、父上の仕事を手伝ってたんだけどね。それも終わっちゃったし、皇太子様は大切なご用事だろ? 多分夕星殿も、一緒にいるんじゃ・・・・・・」
やることがなくなったら、やっぱり気になってねぇ、と、葵は朱夏と並んで歩きながら呟いた。
「朱夏は、ククルカンに行くんだろ? だったら僕も、そのときに連れて行ってもらおうかなぁ。そのままククルカンに留学して、いろんなことを学ぶんだ。楽しみだなぁ」
ちょっとした間に、随分と行動的になったものだ。
朱夏は感心して、葵を見上げた。
「葵が来てくれたら、あたしも心強い。寂しくないもの」
「夕星殿がいるじゃないか。それでもやっぱり、寂しいもの?」
うん、と、朱夏は足元に目を落とした。
「あたしも葵みたいに、一時的に行くだけなら、純粋に楽しみだって思えると思う。でも、今回は・・・・・・行きっぱなしでしょ。いくらユウがいてくれても、その他の人は、全く知らない人ばっかりだもの。父上とも、離れちゃうのは寂しい」
足元の小石を、こつんと蹴る朱夏は、儚げで頼りなげだ。
葵は、ぽん、と優しく朱夏の頭を叩いた。
「そうだね。折角炎駒殿とも打ち解けられたのに。朱夏も寂しいだろうけど、炎駒殿も、寂しいだろうし、心配だろうね」
部屋を出たものの、まさか謁見の間に訪ねていくわけにもいかない。
稽古でもして気を紛らわそうかとも思ったが、時間が経ったとはいえ、やはり気になって落ち着かない。
まだ稽古にも、身は入らないだろう。
ぶらぶらしていると、向こうから歩いてくる人影に気づいた。
「葵、どうしたの?」
同じように、散歩のように歩いてきた葵に、朱夏は駆け寄った。
どうやら葵も、気になっているらしい。
朱夏のように、散歩をしつつ、気分転換していたようだ。
「さっきまでは、父上の仕事を手伝ってたんだけどね。それも終わっちゃったし、皇太子様は大切なご用事だろ? 多分夕星殿も、一緒にいるんじゃ・・・・・・」
やることがなくなったら、やっぱり気になってねぇ、と、葵は朱夏と並んで歩きながら呟いた。
「朱夏は、ククルカンに行くんだろ? だったら僕も、そのときに連れて行ってもらおうかなぁ。そのままククルカンに留学して、いろんなことを学ぶんだ。楽しみだなぁ」
ちょっとした間に、随分と行動的になったものだ。
朱夏は感心して、葵を見上げた。
「葵が来てくれたら、あたしも心強い。寂しくないもの」
「夕星殿がいるじゃないか。それでもやっぱり、寂しいもの?」
うん、と、朱夏は足元に目を落とした。
「あたしも葵みたいに、一時的に行くだけなら、純粋に楽しみだって思えると思う。でも、今回は・・・・・・行きっぱなしでしょ。いくらユウがいてくれても、その他の人は、全く知らない人ばっかりだもの。父上とも、離れちゃうのは寂しい」
足元の小石を、こつんと蹴る朱夏は、儚げで頼りなげだ。
葵は、ぽん、と優しく朱夏の頭を叩いた。
「そうだね。折角炎駒殿とも打ち解けられたのに。朱夏も寂しいだろうけど、炎駒殿も、寂しいだろうし、心配だろうね」