楽園の炎
二人で話ながら、内宮の端まで来ると、外宮との間の大きな広場の木陰に、夕星とナスル姫の姿があった。
特に話をするわけでもなく、のんびりと二人で座っている。
お邪魔しても差し支えないだろうと思い、朱夏は葵と一緒に夕星のほうへと駆け寄った。
駆けてくる二人に気づき、夕星はにこりと笑いかけた。
「ナスル姫様、ご機嫌よう」
葵が、ナスル姫に挨拶すると、姫もその場でぺこりと頭を下げた。
己の横の木陰を、ぽんぽんと叩く。
「ご機嫌よう。どうぞ、お座りになって。お菓子はいかが?」
にこにこと笑いながら、ナスル姫は傍の籠から、小さなケーキのようなものを差し出した。
レパートリーが増えたようだ。
「・・・・・・凄い上達ですね」
ナスル姫から受け取ったケーキをまじまじと見ながら、朱夏は心底感心したように言った。
れっきとした皇家の姫君がお菓子を作れるのに、自分はこんなの作れないなぁと思っていると、ナスル姫が照れくさそうに笑った。
「だって、憂杏に嫁いだら、お料理もしないといけないでしょ? やってみると、面白いものね。わたくし、才能あるのかも。他にもいろいろ、侍女に教えてもらってるのよ。お裁縫とか」
偉いなぁと思い、朱夏はちらりと夕星を見た。
そういえば、夕星もナスル姫も、憂杏の顔合わせには出ていないのだろうか。
特に話をするわけでもなく、のんびりと二人で座っている。
お邪魔しても差し支えないだろうと思い、朱夏は葵と一緒に夕星のほうへと駆け寄った。
駆けてくる二人に気づき、夕星はにこりと笑いかけた。
「ナスル姫様、ご機嫌よう」
葵が、ナスル姫に挨拶すると、姫もその場でぺこりと頭を下げた。
己の横の木陰を、ぽんぽんと叩く。
「ご機嫌よう。どうぞ、お座りになって。お菓子はいかが?」
にこにこと笑いながら、ナスル姫は傍の籠から、小さなケーキのようなものを差し出した。
レパートリーが増えたようだ。
「・・・・・・凄い上達ですね」
ナスル姫から受け取ったケーキをまじまじと見ながら、朱夏は心底感心したように言った。
れっきとした皇家の姫君がお菓子を作れるのに、自分はこんなの作れないなぁと思っていると、ナスル姫が照れくさそうに笑った。
「だって、憂杏に嫁いだら、お料理もしないといけないでしょ? やってみると、面白いものね。わたくし、才能あるのかも。他にもいろいろ、侍女に教えてもらってるのよ。お裁縫とか」
偉いなぁと思い、朱夏はちらりと夕星を見た。
そういえば、夕星もナスル姫も、憂杏の顔合わせには出ていないのだろうか。