楽園の炎
今までの憂杏とは違い、珍しく前向きだ。
自分自身も覚悟を決め、皇太子からも正式に許しが出たことで、気持ちも変わったのだろう。
「先程、皇太子殿下からも、許しが出ました。俺ももちろん、彼女のことは好きですよ。ついてはしばらく、お姫さんを預かることになりました。ま、研修期間ですな」
「お前・・・・・・。ククルカンのお姫様をお預かりするって・・・・・・。大丈夫なの? 何かあったら・・・・・・」
不安そうに言う桂枝は、どうしてもナスル姫を『息子の婚約者』としてではなく、『宗主国の姫君』としか見られないようだ。
憂杏は、ばさばさと着ていた衣装を脱ぎ捨てると、下着の上に薄衣だけになって、再びごろりと横になった。
「母上。ナスル姫は、最早姫君ではありません。俺の婚約者ですよ。母上の娘です。何かあっても、俺たちが守らねばなりません。家族としてね」
そう言って、目を閉じる。
しばらく茫然としていた桂枝は、長椅子に寝てしまった息子に、少し慌てたようだが、やがて一つため息をつき、薄い毛布をかけてやった。
「・・・・・・言うじゃない。憂杏も、言うときは言うのね」
薄く扉を開いて、二人の様子を窺っていた朱夏は、そっと扉を閉めて、アルを振り向いた。
「全く朱夏様は、盗み聞きに覗き見なんて。さぁ、さっさと着替えてしまってくださいな。そろそろ炎駒様も、お帰りになられますし」
「いいじゃない。気になる話を、聞こえるようにするほうが悪いのよ」
にやりと笑い、朱夏は着ていたリンズを脱ごうとして、ふと手を止めた。
改めて、まじまじと自分の身体を見下ろす。
自分自身も覚悟を決め、皇太子からも正式に許しが出たことで、気持ちも変わったのだろう。
「先程、皇太子殿下からも、許しが出ました。俺ももちろん、彼女のことは好きですよ。ついてはしばらく、お姫さんを預かることになりました。ま、研修期間ですな」
「お前・・・・・・。ククルカンのお姫様をお預かりするって・・・・・・。大丈夫なの? 何かあったら・・・・・・」
不安そうに言う桂枝は、どうしてもナスル姫を『息子の婚約者』としてではなく、『宗主国の姫君』としか見られないようだ。
憂杏は、ばさばさと着ていた衣装を脱ぎ捨てると、下着の上に薄衣だけになって、再びごろりと横になった。
「母上。ナスル姫は、最早姫君ではありません。俺の婚約者ですよ。母上の娘です。何かあっても、俺たちが守らねばなりません。家族としてね」
そう言って、目を閉じる。
しばらく茫然としていた桂枝は、長椅子に寝てしまった息子に、少し慌てたようだが、やがて一つため息をつき、薄い毛布をかけてやった。
「・・・・・・言うじゃない。憂杏も、言うときは言うのね」
薄く扉を開いて、二人の様子を窺っていた朱夏は、そっと扉を閉めて、アルを振り向いた。
「全く朱夏様は、盗み聞きに覗き見なんて。さぁ、さっさと着替えてしまってくださいな。そろそろ炎駒様も、お帰りになられますし」
「いいじゃない。気になる話を、聞こえるようにするほうが悪いのよ」
にやりと笑い、朱夏は着ていたリンズを脱ごうとして、ふと手を止めた。
改めて、まじまじと自分の身体を見下ろす。