楽園の炎
「うう・・・・・・。ああ、あの・・・・・・。あわわわ・・・・・・」

ぷるぷると震えたまま、潤んだ目で見上げる朱夏に、夕星は、おや、という顔をした。

「何照れてる。抱きつくのは平気なくせに」

そう言って、ぐいっと朱夏を抱き寄せる。
どん、と朱夏は、夕星の胸に鼻をぶつけた。
心臓が跳ね上がり、息が苦しくなったが、触れるほどに近づいてしまえば、返って平気だ。
朱夏は夕星の胸に頬をつけて、息をついた。

「ちょっと素肌を見たぐらいでそんな状態で、どうするんだよ。他の奴らなんて、上半身裸じゃないか」

「他の人のなんて、全然平気だもん」

少し拗ねたように、朱夏が腕の中で言う。

「ユウだけ、やたらどきどきしちゃうのよ」

「ふ~ん、困ったね。仕方ないか。俺を好きだから、なんだろうしな」

「・・・・・・ユウは、そういうこと言うの、照れないの?」

「照れないよ。事実だろ」

しれっと言う夕星に、朱夏は思わず吹き出した。
自意識過剰とも取れなくもないが、確かに夕星の言うとおりだ。

「何だか、とんでもない人のこと、好きになっちゃったみたい」

言いながら、身体を離して夕星の衣を直す。

「お互い様だ」

軽く答え、夕星はひょいと屈んで、朱夏の唇を奪った。
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