楽園の炎
「仕方ねぇな。まだホレ、お子様度合いがでかくて良かった。これがそれなりの女だったら、とてもとても・・・・・・」
「んまぁっ! 何っ? 今の発言!! まさか憂杏、もう他の人に目移りしてるんじゃないでしょうね?」
驚いて振り向くと、天幕の影から、ナスル姫がぴょこんと顔を出している。
「遅いから、何やってるのかと思えば! 何ですの? 今の!!」
一気に憂杏の傍まで走り寄り、きゃんきゃんと叫ぶ。
「違うって。そういうんじゃないよ」
憂杏は笑いながら、胸ぐらを掴むナスル姫の背を、ぽんぽんと叩く。
「ナスル。お前、憂杏のことが好きなら、あんまり困らすなよ。一人になるのが怖いのはわかるが、節度はわきまえろ」
ぱっとナスル姫が顔を上げ、夕星を見た後、恥ずかしそうに俯いた。
朱夏が後ろから、夕星の背をつんつんと突く。
「ちょっと、きついんじゃない?」
ぼそぼそと言う朱夏に、夕星は首を傾げた。
物事を遠回しに言ったり、オブラートに包んだりすることは、端(はな)から苦手のようだ。
---ま、あたしもそうだけどさ---
ひそりと思っていると、憂杏がナスル姫の頭を撫で、肩を抱いた。
「ま、気にすんなよ。ただほら、俺も男だってことを、もうちょっと意識してくれんかね」
肩を抱かれたまま、天幕の間から出ながら、ナスル姫は憂杏を見上げた。
ぼそ、と呟く。
「わたくし、ちゃんとわかってますわ。憂杏のことは好きだから、余計気にならないんだと思うけど」
気をつけます、と小さく言うナスル姫を見下ろし、憂杏はやっぱり、いかんいかんと念仏のように、心の中で呟いた。
「んまぁっ! 何っ? 今の発言!! まさか憂杏、もう他の人に目移りしてるんじゃないでしょうね?」
驚いて振り向くと、天幕の影から、ナスル姫がぴょこんと顔を出している。
「遅いから、何やってるのかと思えば! 何ですの? 今の!!」
一気に憂杏の傍まで走り寄り、きゃんきゃんと叫ぶ。
「違うって。そういうんじゃないよ」
憂杏は笑いながら、胸ぐらを掴むナスル姫の背を、ぽんぽんと叩く。
「ナスル。お前、憂杏のことが好きなら、あんまり困らすなよ。一人になるのが怖いのはわかるが、節度はわきまえろ」
ぱっとナスル姫が顔を上げ、夕星を見た後、恥ずかしそうに俯いた。
朱夏が後ろから、夕星の背をつんつんと突く。
「ちょっと、きついんじゃない?」
ぼそぼそと言う朱夏に、夕星は首を傾げた。
物事を遠回しに言ったり、オブラートに包んだりすることは、端(はな)から苦手のようだ。
---ま、あたしもそうだけどさ---
ひそりと思っていると、憂杏がナスル姫の頭を撫で、肩を抱いた。
「ま、気にすんなよ。ただほら、俺も男だってことを、もうちょっと意識してくれんかね」
肩を抱かれたまま、天幕の間から出ながら、ナスル姫は憂杏を見上げた。
ぼそ、と呟く。
「わたくし、ちゃんとわかってますわ。憂杏のことは好きだから、余計気にならないんだと思うけど」
気をつけます、と小さく言うナスル姫を見下ろし、憂杏はやっぱり、いかんいかんと念仏のように、心の中で呟いた。