楽園の炎
「ナスルは、ちゃんと家事をこなしているようだな」
入り口の布の向こうに垣間見える、楽しそうに洗濯物を干すナスル姫の様子を眺め、皇太子は呟いた。
憂杏はクッションを皇太子に勧めながら頷いた。
「ええ、すっかり。近くの店の者らとも親しくなって、料理もいろいろ、教わっているようです」
「へぇ~。じゃ、これもナスル姫様が作ったの?」
朱夏がお茶の横にある大きな鍋の中を覗きながら言った。
美味しそうなスープが、半分ぐらい残っている。
小さな棚の上には、籠に入ったパンもあった。
途端に朱夏のお腹が、くるる、と鳴き出す。
「あうう。失礼しました」
赤くなってお腹を押さえる朱夏に、憂杏が吹き出した。
「ははっ。お前、さすがに皇太子様のお付きだから、道々つまみ食いできなかったんだろ。そういや俺も、腹減ったな。そうそう、食事にするところだったんだ。皇太子様、朝餉は召し上がられたでしょうけど、よろしければどうです? ナスル姫の、手作りですよ」
「ほぉ。ナスルの料理は、どんなもんだ? きちんと食えるものかね?」
「失礼ですわよっ! 兄上っ」
いつの間に洗濯物を干し終えたのか、ぎょっとして振り向けば、ナスル姫が中に入ってきたところだった。
入り口の布の向こうに垣間見える、楽しそうに洗濯物を干すナスル姫の様子を眺め、皇太子は呟いた。
憂杏はクッションを皇太子に勧めながら頷いた。
「ええ、すっかり。近くの店の者らとも親しくなって、料理もいろいろ、教わっているようです」
「へぇ~。じゃ、これもナスル姫様が作ったの?」
朱夏がお茶の横にある大きな鍋の中を覗きながら言った。
美味しそうなスープが、半分ぐらい残っている。
小さな棚の上には、籠に入ったパンもあった。
途端に朱夏のお腹が、くるる、と鳴き出す。
「あうう。失礼しました」
赤くなってお腹を押さえる朱夏に、憂杏が吹き出した。
「ははっ。お前、さすがに皇太子様のお付きだから、道々つまみ食いできなかったんだろ。そういや俺も、腹減ったな。そうそう、食事にするところだったんだ。皇太子様、朝餉は召し上がられたでしょうけど、よろしければどうです? ナスル姫の、手作りですよ」
「ほぉ。ナスルの料理は、どんなもんだ? きちんと食えるものかね?」
「失礼ですわよっ! 兄上っ」
いつの間に洗濯物を干し終えたのか、ぎょっとして振り向けば、ナスル姫が中に入ってきたところだった。