楽園の炎
納得したように頷く皇太子は、ふとナスル姫を見た。
「そうそう。ナスルとそなたのことなのだが・・・・・・。父上には、すでに書簡で知らせておいた。書簡は私からの正式な使者が届けるから、他の者に見られる心配はないのだが。結局挨拶は、しないといけないだろう? そのときに、どう紹介するか・・・・・・」
憂杏は、眉間に皺を刻んだ。
確かに、直系の姫君の婚約者としての挨拶の場には、それなりの重臣らが列席しているだろう。
そのような面前で、商人と言っていいものだろうか。
皇太子の言葉ももっともだ、というように、考え込む憂杏だったが、皇太子は軽く手を振った。
「いや、そうではない。そなたの身分は、そのまま言っても構わないのだよ。そもそも、偽るわけにもいかんだろう? 書簡にも、書いてある。そんなことより、ナスルの嫁ぎ先であるそなたを、アリンダに紹介していいものか・・・・・・」
「アリンダ様というかたは、そんなに厄介なのですか?」
憂杏の問いに、皇太子は顔をしかめて頷いた。
「ユウ・・・・・・第三皇子に、話は聞いております。昔からあの兄妹には、いろいろしてきたようですね。しかし、話を聞いたからこそ、俺も心を決めることができたのですよ。正式に婚約者が決まれば、アリンダ様とて、そう無体なことは、なさらないのでは?」
憂杏の考えに、皇太子は、ふ、と笑って首を振った。
「それぐらいで、引っ込むような奴なら、どれほどいいか。婚約者が決まったとわかれば、返ってナスルを襲うかもしれん。婚約者よりも先に、汚してやろうと思う奴だしな。そうすれば、ナスルはもちろん、婚約者も傷つけることができる」
「婚約者なんぞ、関係ないだろうがっ!!」
思わず叫び、拳を床に叩き付ける憂杏に、皇太子は驚いたように目を見開いた。
が、すぐに再び首を振る。
「そうそう。ナスルとそなたのことなのだが・・・・・・。父上には、すでに書簡で知らせておいた。書簡は私からの正式な使者が届けるから、他の者に見られる心配はないのだが。結局挨拶は、しないといけないだろう? そのときに、どう紹介するか・・・・・・」
憂杏は、眉間に皺を刻んだ。
確かに、直系の姫君の婚約者としての挨拶の場には、それなりの重臣らが列席しているだろう。
そのような面前で、商人と言っていいものだろうか。
皇太子の言葉ももっともだ、というように、考え込む憂杏だったが、皇太子は軽く手を振った。
「いや、そうではない。そなたの身分は、そのまま言っても構わないのだよ。そもそも、偽るわけにもいかんだろう? 書簡にも、書いてある。そんなことより、ナスルの嫁ぎ先であるそなたを、アリンダに紹介していいものか・・・・・・」
「アリンダ様というかたは、そんなに厄介なのですか?」
憂杏の問いに、皇太子は顔をしかめて頷いた。
「ユウ・・・・・・第三皇子に、話は聞いております。昔からあの兄妹には、いろいろしてきたようですね。しかし、話を聞いたからこそ、俺も心を決めることができたのですよ。正式に婚約者が決まれば、アリンダ様とて、そう無体なことは、なさらないのでは?」
憂杏の考えに、皇太子は、ふ、と笑って首を振った。
「それぐらいで、引っ込むような奴なら、どれほどいいか。婚約者が決まったとわかれば、返ってナスルを襲うかもしれん。婚約者よりも先に、汚してやろうと思う奴だしな。そうすれば、ナスルはもちろん、婚約者も傷つけることができる」
「婚約者なんぞ、関係ないだろうがっ!!」
思わず叫び、拳を床に叩き付ける憂杏に、皇太子は驚いたように目を見開いた。
が、すぐに再び首を振る。