楽園の炎
部屋に入ると、憂杏があからさまにほっとしたような顔で、二人を見た。
侍女らは心なしか、遠巻きに控えている。
「朱夏っ! ほら、これとか、どう?」
部屋に流れる微妙な空気も気にせず、一人明るくナスル姫が、奥から朱夏を呼んだ。
そちらに目をやれば、ナスル姫が寝台の上に山と積まれた衣装の中から、一枚を広げている。
「わたくし、こんなにいらないし、そもそもこんな良い服、もう着ないもの。しっかりしたサイズじゃないから、朱夏、着られるんじゃない?」
朱夏はばさばさと衣装を広げるナスル姫のほうへと歩み寄った。
よくもまぁ、そんなに大量に持ってきたものだと思うほどの衣装の量だ。
「・・・・・・凄いですねぇ。さすがというか」
「そう? あ、国に帰ったらもっとあるから、またあげるわ。宝石とかもあるし」
うきうきと朱夏に自分の衣装を合わせて言うナスル姫を眺めながら、夕星は部屋の隅に座る憂杏に近づいた。
「これぐらいでへこたれてちゃ、父上の前になんて、とても出られないぜ」
にやにやと言う。
憂杏は、はあぁ~と大きなため息をついた。
「お前たちも、そんな盗賊が入ってきたみたいな態度をするなよ。良い奴だぜ」
「い、いえ、そんな・・・・・・」
夕星の言葉に、侍女らは慌てて首を振る。
「ナスルの婿になる奴だ。お前たちからも、しっかり頼んでおけよ」
侍女らは心なしか、遠巻きに控えている。
「朱夏っ! ほら、これとか、どう?」
部屋に流れる微妙な空気も気にせず、一人明るくナスル姫が、奥から朱夏を呼んだ。
そちらに目をやれば、ナスル姫が寝台の上に山と積まれた衣装の中から、一枚を広げている。
「わたくし、こんなにいらないし、そもそもこんな良い服、もう着ないもの。しっかりしたサイズじゃないから、朱夏、着られるんじゃない?」
朱夏はばさばさと衣装を広げるナスル姫のほうへと歩み寄った。
よくもまぁ、そんなに大量に持ってきたものだと思うほどの衣装の量だ。
「・・・・・・凄いですねぇ。さすがというか」
「そう? あ、国に帰ったらもっとあるから、またあげるわ。宝石とかもあるし」
うきうきと朱夏に自分の衣装を合わせて言うナスル姫を眺めながら、夕星は部屋の隅に座る憂杏に近づいた。
「これぐらいでへこたれてちゃ、父上の前になんて、とても出られないぜ」
にやにやと言う。
憂杏は、はあぁ~と大きなため息をついた。
「お前たちも、そんな盗賊が入ってきたみたいな態度をするなよ。良い奴だぜ」
「い、いえ、そんな・・・・・・」
夕星の言葉に、侍女らは慌てて首を振る。
「ナスルの婿になる奴だ。お前たちからも、しっかり頼んでおけよ」