楽園の炎
「わ、わたくしなどには、もったいないお言葉。ですが、わたくしからもお願い申し上げます。どうぞ朱夏様を、くれぐれもよろしくお願い致します。ナスル姫様も、息子ともども全力でお守り致します故、ご安心ください」

「桂枝、今までありがとうね。父上をよろしく」

前に跪いて言う朱夏に、桂枝は微笑んだ。

「本当に・・・・・・本当に、ようございました。朱夏様、お幸せに。炎駒様のことは、この桂枝にお任せください」

朱夏の手を握って言い、桂枝はアルを呼んだ。

「アル、朱夏様を頼みましたよ」

「お任せください。お式当日は、見違えるほど美しい朱夏様をご覧に入れますわ」

胸を張って言うアルも、旅支度に身を包んでいる。
彼女も朱夏と共に、ククルカンに旅立つのだ。

「じゃあ行こうか」

夕星が手を叩くと、外からさっと扉が開かれた。
アルファルドとククルカンの兵士が、回廊の両脇に、ずらっと並んでいる。

「朱夏、元気でな」

「父上、待ってますから」

最後に父と言葉を交わし、朱夏は夕星と宝瓶宮を後にした。
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