楽園の炎
「う~ん、楽しかったなぁ。ここの市ほど、活気のある市ってのも、そうないんだぜ。コアトルの市は、さすがにでかいが。でも海産物が主だしな。内陸で、これだけ多岐に渡る商品を扱っているのは、ここだけだろう」
遠目にアルファルドの市を眺めながら、夕星は楽しそうに言う。
「今日は、星見の丘辺りで野営だろう。その先には、砂漠越えが待っているしな。砂漠に入るのは、明日の朝早く、だな」
「ゆっくりだね」
朱夏の感覚では、星見の丘までなど、ひとっ走りだ。
実際、夕星と行ったときも、夜の内に往復している。
だが今、あのときと同じ軍馬で、同じように夕星と星見の丘に向かっていても、スピードはだんちの差だ。
人が歩く速度と変わらない。
「そりゃあ、歩兵隊や侍女は、歩きだからなぁ。でも、砂漠は涼しいうちに、一気に越える。でないとそれこそ、侍女らはえらいことになるし」
「え、一気に越えるって・・・・・・。砂漠越えって、そんな簡単なの?」
朱夏は砂漠に入ったことはないが、近くまでは散々行っていたため、昔から桂枝などに、口を酸っぱくして砂漠の怖さを言い聞かせられてきた。
一度迷い込んだら、二度と出られないとか、方向がわからなくなるとか。
そういうことをすり込まれてきたため、とにかく砂漠は恐ろしいところだ、というイメージがあるのだ。
遠目にアルファルドの市を眺めながら、夕星は楽しそうに言う。
「今日は、星見の丘辺りで野営だろう。その先には、砂漠越えが待っているしな。砂漠に入るのは、明日の朝早く、だな」
「ゆっくりだね」
朱夏の感覚では、星見の丘までなど、ひとっ走りだ。
実際、夕星と行ったときも、夜の内に往復している。
だが今、あのときと同じ軍馬で、同じように夕星と星見の丘に向かっていても、スピードはだんちの差だ。
人が歩く速度と変わらない。
「そりゃあ、歩兵隊や侍女は、歩きだからなぁ。でも、砂漠は涼しいうちに、一気に越える。でないとそれこそ、侍女らはえらいことになるし」
「え、一気に越えるって・・・・・・。砂漠越えって、そんな簡単なの?」
朱夏は砂漠に入ったことはないが、近くまでは散々行っていたため、昔から桂枝などに、口を酸っぱくして砂漠の怖さを言い聞かせられてきた。
一度迷い込んだら、二度と出られないとか、方向がわからなくなるとか。
そういうことをすり込まれてきたため、とにかく砂漠は恐ろしいところだ、というイメージがあるのだ。