楽園の炎
第四章
カツンッと、乾いた音が響き、剣が触れ合う。
相手が剣を引いた一瞬に、朱夏は踏み込み、剣の柄で相手の喉下を突いた。
「ぐっ」
相手が呻き、後ろに倒れ込む。
降参、というように片手を挙げた相手の兵士に、朱夏は手を差し出して引き起こしてやる。
そのまま向かい合い、剣を下げて、礼。
いつもの稽古風景だ。
「さすが朱夏様。見事です」
「剣を弾かれたときに、脇が開きすぎ。もっと脇を閉めるなり、すぐに剣を下げるなりしないと、今のように攻められるわよ」
言いながら朱夏は、袖で汗を拭った。
稽古場は屋外のため、少し動くと汗が噴き出す。
稽古場になっている中庭は、王宮の中でも外宮の外側、兵士たちの宿舎がある、森の近くだ。
稽古が一通り終わったら、森の泉に泳ぎに行こうかなぁと思っていると、不意にぱちぱちと拍手が聞こえた。
顔を上げると、外宮の二階より、ナスル姫が見下ろしている。
「素晴らしいわ! とっても格好良かったわよ」
窓から乗り出して叫ぶ姫君に、その場にいた兵士一同から、どよめきが起こる。
「ねぇ朱夏! そちらに行っても、構わないかしら?」
「え・・・・・・、ええ。それは、構いませんけど・・・・・・」
元気に叫ぶナスル姫は、呆気に取られながら答えた朱夏に笑いかけると、建物の中に姿を消した。
ぽかんとそのまま姫のいた窓を眺めていると、葵がちらりと姿を現した。
相手が剣を引いた一瞬に、朱夏は踏み込み、剣の柄で相手の喉下を突いた。
「ぐっ」
相手が呻き、後ろに倒れ込む。
降参、というように片手を挙げた相手の兵士に、朱夏は手を差し出して引き起こしてやる。
そのまま向かい合い、剣を下げて、礼。
いつもの稽古風景だ。
「さすが朱夏様。見事です」
「剣を弾かれたときに、脇が開きすぎ。もっと脇を閉めるなり、すぐに剣を下げるなりしないと、今のように攻められるわよ」
言いながら朱夏は、袖で汗を拭った。
稽古場は屋外のため、少し動くと汗が噴き出す。
稽古場になっている中庭は、王宮の中でも外宮の外側、兵士たちの宿舎がある、森の近くだ。
稽古が一通り終わったら、森の泉に泳ぎに行こうかなぁと思っていると、不意にぱちぱちと拍手が聞こえた。
顔を上げると、外宮の二階より、ナスル姫が見下ろしている。
「素晴らしいわ! とっても格好良かったわよ」
窓から乗り出して叫ぶ姫君に、その場にいた兵士一同から、どよめきが起こる。
「ねぇ朱夏! そちらに行っても、構わないかしら?」
「え・・・・・・、ええ。それは、構いませんけど・・・・・・」
元気に叫ぶナスル姫は、呆気に取られながら答えた朱夏に笑いかけると、建物の中に姿を消した。
ぽかんとそのまま姫のいた窓を眺めていると、葵がちらりと姿を現した。