楽園の炎
「ねぇユウ。この調子で、半日間だけの移動で動くの?」

夜、寝台の中で、朱夏は隣の夕星に聞いた。
夕星は、朱夏に毛布をかけながら、ちょっと視線を外に向けた。

「いや、ほんとは日が落ちたら、少し移動することもあるんだけどね。ここから次のオアシスまでは長いし、今日はあんまり空が晴れてないからね。目印の星が見えなくなったら大変だし、明日にしたんだ」

「そっか。そうよね」

夕星にかけられた毛布にくるまり、朱夏は、ふ、と息をついた。

「その代わり、明日は今日より早く出発するぜ。だから、さっさと寝ないとな」

そう言って、夕星は自分も毛布に潜り込み、朱夏を抱きしめた。
びく、と朱夏の身体が強張ったが、昨夜よりは大分慣れた。
すぐに身体の力を抜く。

「朱夏、体調はどうだ? 寒くないか?」

「大丈夫。ユウが、あったかいし」

にこ、と笑う朱夏に、少し笑って湯たんぽかよ、と呟き、夕星は天幕の灯りを消した。
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