楽園の炎
困惑したように言うアルだが、アシェンは力強く否定する。
「いえっ! 聞けばアルシャウカット殿も、長年アルファルドで暮らしてらっしゃったそうではありませんか。朱夏姫様もお倒れになられたのですから、アルシャウカット殿も、知らぬうちにお疲れになっているかもしれませぬ。どうぞ、遠慮無くわたくしをお使いください!」
熱くアルを誘う。
長年アルファルドで暮らしていたというのなら、葵だってそうだ。
女性ということを、やたら気にかけているのだろうが、アルにしてみれば、他の侍女が歩いているのに、自分だけが馬に乗るわけにもいかない。
心底困ったように朱夏を見るアルに、夕星は、くくっと笑った。
「ははは。うん、まぁいいんじゃないか。折角だし、乗せてもらえ」
軽く言い、傍の兵士二人にも、ラーダとレダを乗せるよう指示する。
「さ、これでアルも、気兼ねなくアシェンに甘えられるだろう?」
夕星の言葉に、何故かアシェンは、びくんと身体を強張らせた。
動きが一層堅くなり、ぎくしゃくと、再度手を差し伸べる。
「・・・・・・それでは、お言葉に甘えさせていただきます」
「は、ははっ」
アルを誘いに来たときには、さほど堅さはなかったように思うのに、今はまた、初めのようにぎこちない。
「あんなに熱心に誘ってたのに、おかしな人だね」
ぼそ、と朱夏は、夕星に耳打ちした。
夕星は相変わらず、アルを自分の馬に乗せるアシェンを見て笑っている。
「いえっ! 聞けばアルシャウカット殿も、長年アルファルドで暮らしてらっしゃったそうではありませんか。朱夏姫様もお倒れになられたのですから、アルシャウカット殿も、知らぬうちにお疲れになっているかもしれませぬ。どうぞ、遠慮無くわたくしをお使いください!」
熱くアルを誘う。
長年アルファルドで暮らしていたというのなら、葵だってそうだ。
女性ということを、やたら気にかけているのだろうが、アルにしてみれば、他の侍女が歩いているのに、自分だけが馬に乗るわけにもいかない。
心底困ったように朱夏を見るアルに、夕星は、くくっと笑った。
「ははは。うん、まぁいいんじゃないか。折角だし、乗せてもらえ」
軽く言い、傍の兵士二人にも、ラーダとレダを乗せるよう指示する。
「さ、これでアルも、気兼ねなくアシェンに甘えられるだろう?」
夕星の言葉に、何故かアシェンは、びくんと身体を強張らせた。
動きが一層堅くなり、ぎくしゃくと、再度手を差し伸べる。
「・・・・・・それでは、お言葉に甘えさせていただきます」
「は、ははっ」
アルを誘いに来たときには、さほど堅さはなかったように思うのに、今はまた、初めのようにぎこちない。
「あんなに熱心に誘ってたのに、おかしな人だね」
ぼそ、と朱夏は、夕星に耳打ちした。
夕星は相変わらず、アルを自分の馬に乗せるアシェンを見て笑っている。