楽園の炎
「アル。アシェン様はどうなの?」

甲板で一息ついていたアルを見つけ、朱夏が歩み寄ってきた。

「大分悪いようですわねぇ。わたくしが傍にいたら、良くなるものも良くならないようでしたので、遠慮させていただきました」

あら、と朱夏は、少し残念そうに呟いた。

「アルはさ、アシェン様を、どう思う?」

手すりに寄りかかり、朱夏はずばりとアルに問うた。
今はとりあえず、興味本位でアシェンにアルをけしかけているようなものだが、もし本気でアルが嫌がっているようなら、やめるべきだ。

「そうですわねぇ・・・・・・。よく、わかりませんわ。良いかた・・・・・・なんでしょうけど、何せわたくしがお傍にいるだけで、姿勢も崩せないようなお人なんですもの。息が詰まってしまう」

やれやれ、というように、伸びをする。
あちゃ、と朱夏は、心の中でため息をついた。

「そっかぁ・・・・・・。う~ん、確かに、こっちが落ち着かないよね。もしアルが良ければ、ずっとアシェン様と一緒にいてもらっても、いいと思ったんだけど」

アルが、訝しげに朱夏を見る。
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