楽園の炎
「いらせられませ、朱夏姫様。どうぞ、お座りになって」
皇后の部屋は、朱夏が使っている部屋のすぐ近くだ。
朱夏の身を心配して、後宮のすぐ近くにした、と言っていたとおり、朱夏の部屋から広い回廊を真っ直ぐに突き当たれば、すぐに皇后の部屋になる。
朱夏は入り口でぺこりと頭を下げ、勧められた椅子に腰掛けた。
そこで初めて、朱夏は青くなる。
手に剣を掴んだままだったのだ。
「ああっ! あの、も、申し訳ありません」
ひえぇぇ、と狼狽えながら、剣を握りしめて涙目になる朱夏に、トゥーラ皇后は目を丸くした。
「あらまぁ。どうしましたの、そんな物騒なものを持って。夕星様に、持って行くよう言われでもしましたの?」
「い、いいえ! あの、ああ、あたしは元々武官ですから、こういうものを持つのが習慣で・・・・・・」
す、すみませんっ! とひたすら恐縮する朱夏に、トゥーラ皇后は少し驚いたように、お茶を淹れる手を止めた。
「武官? ああ、そういえば、そのようなこと、昨日も仰ってましたわね。本当に? 葵王様も認めてらしたけど・・・・・・」
信じられない、という風に、まじまじと朱夏を見る。
朱夏は泣きそうになりながら、小さくなって許しを請うた。
「ほんとに、礼儀がなってなくて、申し訳ありません!」
皇后の部屋は、朱夏が使っている部屋のすぐ近くだ。
朱夏の身を心配して、後宮のすぐ近くにした、と言っていたとおり、朱夏の部屋から広い回廊を真っ直ぐに突き当たれば、すぐに皇后の部屋になる。
朱夏は入り口でぺこりと頭を下げ、勧められた椅子に腰掛けた。
そこで初めて、朱夏は青くなる。
手に剣を掴んだままだったのだ。
「ああっ! あの、も、申し訳ありません」
ひえぇぇ、と狼狽えながら、剣を握りしめて涙目になる朱夏に、トゥーラ皇后は目を丸くした。
「あらまぁ。どうしましたの、そんな物騒なものを持って。夕星様に、持って行くよう言われでもしましたの?」
「い、いいえ! あの、ああ、あたしは元々武官ですから、こういうものを持つのが習慣で・・・・・・」
す、すみませんっ! とひたすら恐縮する朱夏に、トゥーラ皇后は少し驚いたように、お茶を淹れる手を止めた。
「武官? ああ、そういえば、そのようなこと、昨日も仰ってましたわね。本当に? 葵王様も認めてらしたけど・・・・・・」
信じられない、という風に、まじまじと朱夏を見る。
朱夏は泣きそうになりながら、小さくなって許しを請うた。
「ほんとに、礼儀がなってなくて、申し訳ありません!」